星の数ほどあるビジネススクールですが、これもビジネスですから、その収益性を高めるための競争力獲得に於いて、差別化に躍起です。所詮は、ビジネスを学ぶ場なのでその大枠は変りようが無いのですが、ファイナンス、ジェネラルマネジメント、エンタテイメント、ノンプロフィットといった強みを生かす教育分野に始まり、規模、立地特性、学生のProfile、特色あるプログラム、スケジュール、ケースメソッドなどの学習方法などの要素を混ぜ合わせ、より魅力的、且つ、異なるポジションを確立しようとしています。受験生はこれを調べ上げ、自身にマッチした学校を探す、と言うことが求められます。勿論、ブランドというものも重要な要素でしょう。
IMD MBAの場合、Leadership, General Management, Organizational Behaviorが注力分野であり、その教育を徹底するための仕組みが、小規模(90名)、40カ国を超えるdiversity、平均実務経験7年となります。IMDの精神であるReal World, Real Learningがその根底にあります。ビジネススクールとしては、異彩を放つIMDの特徴ですが、ではその意味するところは一体なんなのでしょうか。 で、これを判り易く説明したのが、タイトル”IMDの競合はマッキンゼー”となります。 LeadershipやらGeneral Managementと言った切り口だけでいけば、IMDの競合はHBSやらDartmouthとかになるのでしょうか。それが、どうもIMDの競合相手は、そういったビジネススクールではなく、マッキンゼーやBCGといった戦略コンサルティングファームになりそうだという見方です。つまりこういうことです。IMDの究極の目的は、実業界が抱える問題の解決であり、従ってIMDの各プログラムは、その役割を果たす執行者を訓練するべく設計されている、と言うことです。 Executive Programや企業ごとのテーラーメード型プログラムの充実度を見ればその方針が良く判るのではないでしょうか。つまり、病人(企業)に対し処方箋を書くに留まらず実際に治療に役立つ抗体を打つのです。その抗体が、MBAでありエグゼクティブプログラムで教育を受ける企業のTop Managementになるわけです。MBAは、どちらかと言えば遅効性ながら、企業の本源的免疫力向上に役立つ抗体、エグゼクティブは、即効性のある抗体といったところかもしれません。体の内側から、体を元気にする抗体を生み出すラボなわけです。 企業の問題解決といえば、これはまさに戦略コンサルのテリトリーに大きく踏み込んでいるわけです。IMDは、更に戦略コンサルの手の届かない部分である、治療の執行者を企業に送り込むことが出来る、という分だけ、企業にとって実効性が高いともいえるかもしれません。 こうやって考えてみるとIMDのMBAプログラムの特徴は色々と説明がつきやすい部分があります。例えば、IMDのFacultyにはマッキンゼー出身者が結構います。多くのFacultyは、企業のコンサルティングが義務付けられています。更に11ヶ月のプログラムながらその内の3ヶ月に近い時間をコンサルティングプロジェクトに費やします。このプロジェクトは実際に企業からFeeを徴収、成功報酬もあるというより本格的なものです。また、プログラム参加者は、平均実務経験7年のまさに旬に差し掛かる勢いのある者ばかりですから、卒業後もPost MBA用の慣らし運転期間を必要とせずに企業の即戦力として問題解決に取り組むことが出来ます。IMD全体から見れば、MBAはある種の試験体とも言え、その成果をExecutiveのプログラムに反映することが出来ます。その逆も勿論あり、生々しい、今日現在の企業が抱える課題を日々の授業にtimelyに反映することが出来ます。 企業の問題解決に明日から当事者として取り組むことが出来る人材を育成する機関、それがIMDであり、だからこそReal World, Real Learningが必要になるわけです。その意味に於いてIMDは、少しばかり”学校”という枠組みからは外れた存在と言えるかもしれません。
by tomoimd
| 2007-06-17 23:02
| 雑感
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