IMD MBAの最大の魅力の二つ目に揚げたのがクラスメート。MBAを目指す全ての人間が最も関心を寄せるであろうことの一つがクラスメートのクオリティだろう。Globalなネットワークを築くというのは間違いなくMBAの目的の一つ足りうる。
IMDの場合、平均年齢が30~31歳と北米の2年生MBAに対し比較的高い。既に7年前後の実務経験を有していることになる。日本人のMBAが比較的高齢(20代後半から30代に亘るという意味)であることを考えるとIMDは、年齢的なフィットは良い。年齢的に近しいということは、同程度の実務経験を有し、同程度の職責を担っていたことからくる同レベルの悩みの共有のみならず、人生のステージが近いことから来る様々な課題にも同じレベルで意見をシェアできる。結婚している学生は少なくないため、Work Life Balanceは、常に話題の中心にある。加えて、育児なんかについても話題は及ぶ。家族マネジメントは、ビジネスリーダー足る上で、避けることの出来ない大きな課題であり、その話題をMBA期間中のみならず生涯に亘り相談することが出来る友人を大切なTransitionのタイミングで得ることが出来ることは、将来の人生設計をMBA期間中に、と考えているビジネスパーソンにとっては貴重ではないだろうか。 90名のみの小規模学校が故に、それぞれのパートナーや家族をひっくるめて大家族となるのにそう時間はかからない。余りに父親の顔を見ない日が続くために、小さい子供達は、誰彼かまわずパパと呼び始めたりする。アサインメントの8割超がグループアサインメントであり、授業は全てCase Studyのためその準備もこの8人一組のグループで行うことが期待される。つまり、逃げられない環境を作り上げられる。そこへ追い討ちをかけるごとくSelf awarenssを諭す仕組みがそこかしこにあるため、グループの自分以外の7人には、常に自分がどんな人間かを監視されているようなものにもなる。特に当初3ヶ月は、その作業に膨大な時間を費やす。内外部の心理カウンセラーがこの1グループに一人つき、グループ内部の人間関係を徹底的に観察する。その手法は、Discussionの様子をVideoに収めて皆でレビューすることから始まり、共同での課外活動、全員同時で行うFeedback sessionに至る。心理カウンセラーの役割は、表面化しずらいGroup memberの些細な心の動きやGroup内部のDynamicsを表面化させ、各メンバーに自覚させることを諭すことに在る。そのため、不協和音の僅かな気配さえ見逃さずにこれを鋭く指摘する。そのストレートさは、穏便・事なかれの日本人には少々タフだが、学習効果は著しく大きい。 想像して欲しい、朝から晩までずぅーーーーっと同じメンバーで6畳ほどのStudy roomで議論しっぱなしの仲間である。IMDでは、多数決による意思決定は許されていないため議論をし尽くさなければならない。相手は皆、俺が一番でこれまでの人生をやってきた人間ばかりである。相手の意見に対して折れるなんてことは、なかなかない。これが、特に論理的な議論であれば兎に角、全く非論理的な事項まで自己開発を目的として課題が出されたりするので、単純に俺は青が好きだ、俺は黄色、私は赤、見たいな議論で爆発することも在る。仕切り屋が現れ、議論から逃げ出すものが現れ、怒鳴り始めるもの、小グループを作り始めるもの、様々なDynamicsが生まれる。その一つ一つをつぶさにカウンセラーが広い、原因を突き止めるべくFollow upの議論の場が設けられるのだ。カウンセラーが居なければ、当然、皆、何とはなしにうやむやにしながら時が過ぎるのを待つという選択肢もありうるのだが、これが許されない。IMDでは、この腐った魚をTableに乗せるという意味でFish On The Tableという。 各個人には、これに加えて通年の心理カウンセラーとのセッションを希望に応じて受けることが出来る。週末の比較的余裕のある時間帯に毎週カウンセラーの手伝いを経て、自己開発を更に進めていく。 これらの前提にAcademicな側面から、心理分析医の理論、学術論文などを貪り食うように読むことを求められ、この集団に於ける人間行動のダイナミクス、自己開発のプロセスを理論と実践の両面から掘り下げていくのがIMDの最大の特徴である。 翻って、このような作業をする上で、やはり90名1クラスというのが今のところFacultyのCapacityやプロの心理カウンセラー集団のavailabilityの観点からも限界であろう。そして、その単位だからこそ他へ逃げることなく真摯に見つめ続けることが出来るのであろうとも思う。 GroupでのFeedbackセッションで他7名の前で公然と短所を指摘されるのも、その前提には家族のメンバーとしての信頼が醸成されてこそ成り立つ。徒の批判的な指摘ではなく、真摯に各個人の飛躍、転身を助けたいとの願いがあってこそのFeedbackである。従い、相応の社会経験がものをいう場面も少なくない。 最後に、最も大切なことはDiversityだと思う。国籍だけを見れば90名のクラスで’07の場合41カ国から学生が来ていた。その9割の学生が母国以外に実際に住み仕事に従事した経験を持つ。すなわち、ほぼ全ての学生が実際にInternationalにexposeした経験を有している。 この有無は、極めて大きいというのが僕の意見だ。異文化に身を置き生活をして初めて、自らが来た地の理解が深まると考えるのがその大きな理由。逆に、他を理解せずには、自身が生まれ育った土地以外で生きていくことはまず困難である。が故に、他を理解するということを、心理的にも物理的にも理解している学生が多い。IMDに於けるLeadership教育を通じて学んだことの一つは、文化・宗教・人種・性別等々の違いは、実際には大した意味の無いこと、ということ。所詮は、個人のCharacterであり、そこに色々な理由を文化の違いやらなにやらで見出そうとする作業は言い訳発見の作業に限りなく近いという思想がある。その事実を身をもって体験するために必要なことがDiversityである。 多様性の中で、もっと言えば、全く違う意見を持った、しかもひと際、強烈な個が集団となっている組織に於いてその各個人の力を最大限に引き出し、課題解決に最も効率的に当たるために自分の個を如何に発揮すべきか、如何に発揮することが集団からは求められているか、これを理解することがIMDに於ける最大の学びである。 小規模且つ圧倒的なInternational Exposureの経験ある90名のクラスメートは、Leadership教育を小手先の理論的理解で終わらせること無く継続的に体験させるというチャレンジを志向するMBAである以上、必要不可欠なインフラであり、逆に言えばそのような環境を得られる贅沢は他には見つけづらいのではないかと思う。
by tomoimd
| 2008-03-01 09:09
| IMD・CLASS
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